電気通信主任技術者試験(伝送交換)の「電気通信システム」、「伝送交換設備及び設備管理」で出題されるATM(非同期転送モード)の分野についてまとめました
専門科目で出されるほどの応用的な内容はここでは扱っていません
過去問を解きながら参考書にコピペしたものをもとに書いたものなので、怪しいところがあるかもしれませんが、参考程度に使用して下さい
試験の過去問の他、NTTラーニングシステムズのテキストからも引用しました

電気通信教科書 電気通信主任技術者 伝送交換設備及び設備管理・法規編 第2版
- 作者: NTTラーニングシステムズ株式会社
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2014/07/15
- メディア: 大型本
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ATMの概要
情報を53バイトの固定長のセルに分解してリレーすることで、速度や情報メディアに依存しない通信を実現する
(これに対し、パケットは可変長)
情報をセルに分解し、セルごとに多重化して送信することで、1本の物理回線に複数の仮想回線があるかのようにみなし、高速な通信が可能
パケット交換ではラベルを元にソフトウェアでスイッチングを行うが、ATMではハードウェアでスイッチングできるため極めて高速に動作する
数kbit/s〜数100Mbit/sの広い範囲の通信速度に対応可能
VPとVC
VC (バーチャルチャネル)
一つの物理回線で複数の通信自分の回線とみなして利用でき、この論理回線をVCという
VCI(仮想チャネル識別子)を用いてどの経路を通るか決定する
VP(バーチャルパス)
VCを何本か束ねたもの
VPI(仮想パス識別子)を用いてどの経路を通るか決定する
ATMセル構造
53バイトのうち、先頭5バイトのヘッダには宛先情報などが含まれ、48バイトはユーザからの主情報(ペイロード)となる
UNI(ユーザ・網インターフェース)とNNI(ネットワークノードインターフェース)でATMのセル構造が一部異なり、NNIでは先頭12ビットがVPIだが、UNIではそのうち先頭4ビットがGFCとなる
GFC (Generic Flow Control: 汎用フロー制御)
UNIのみ先頭に4ビット有する
端末とネットワーク間におけるフロー制御を行う
VPI(Virtual Path Indentifier:仮想パス識別子)
- VCI(Virtual Channel Identifier:仮想チャネル識別子)
VPIとVCIを用いてネットワークのどの経路を通るかを決定する
VPではVPIを、VCではVCIを利用する
VPI: UNIは8ビット、NNIは12ビット
VCI: 16ビット
CLP(Cell Loss Priority:セル損失優先順位)
1ビット
1: 優先破棄表示
0: 通常表示
HEC(Header Error Control:ヘッダ誤り制御)
8ビット
セルヘッダに発生するビット誤りを検出、訂正する
AAL(ATMアダプテーションレイヤ)
ビット誤りの検出と回復、セルの組立てと分解、フロー制御、タイミング制御などの機能がある
AAL1: 固定速度連続データ向け
AAL2: 可変速度連続データ向け
AAL3/4、AAL5: バーストデータ向け
AAL1
コネクション型・固定ビットレート
テレビ電話など大容量の動画の通信向けの規格
ペイロードのうち1オクテットをセルの送信順序の制御用に用いるため、実データは47オクテットとなる
構内 LAN で用いられている
固定速度型の通信用であり、サービスクラスAに分類されるATMネットワーク上で、専用線サービスなど、既存の回線サービスを擬似した通信に用いられる
AAL2
コネクション型・可変ビットレート
低速音声符号向けの規格。
セルの組み立て及び復元によるジッタ(遅延の揺らぎ)の影響を減らすため、複数のトラフィックを1つのセルに多重化するとともに、セルが一杯になる前に送出することを許容する
可変速度で実時間性を要求される通信用のAALである。
IP over ATM
IPパケットを分割し、各セルのデータ・フィールドに格納し、QoSに応じた適切かつ高速な転送処理を行う
IPパケットを直接ATMに受け渡す
IPアドレスとATMアドレスを解決するため、ATMARPサーバを利用する
LIS(Logical IP Subnet)と呼ばれる論理IPサブネット単位に構成され、1つのLISには1つのATMARPサーバが必要になる
LIS内には1つのサブネットしか存在できないので、IPサブネットを新たに構成する場合は別のLISを構成する必要がある
※参考: atm 29_MPOA.pdf - Google 検索
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