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移動無線通信システムの各世代の要点まとめ(電気通信主任技術者試験「設備管理」「専門(無線)」)

電気通信主任技術者試験(伝送交換)の「伝送交換設備及び設備管理」、「専門的能力(無線)」で出題される移動無線通信システムの分野についてまとめました



無線伝送についての基本はこちら
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CDMAの送信電力制御などのさらに専門的な内容はこちら
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過去問に出たところを中心にまとめ、特に穴埋めや単語のすり替えがあったところにはで強調しました


過去問を解きながら参考書にコピペしたものをもとに書いたものなので、怪しいところがあるかもしれませんが、参考程度に使用して下さい


試験の過去問の他、NTTラーニングシステムズのテキストからも引用しました

電気通信教科書 電気通信主任技術者 伝送交換設備及び設備管理・法規編 第2版

電気通信教科書 電気通信主任技術者 伝送交換設備及び設備管理・法規編 第2版


目次

各世代の主な規格

第2世代

PDC (Personal Digital Cellular)
FDD-TDMAの一つ
2012年3月31日に使用停止


PHS (personal handy-phone system)
試験では第3世代であるという誤った選択肢として出題されました

・IS95 (cdmaOne)
FDD-CDMAの一つ
2.5世代とも言われる
WikiにはIS95Aが第2世代、IS95Bが第2.5世代と載っていて、試験では第3世代であるという誤った選択肢として出題されました。2か2.5かまでは聞かれないと思います

第3世代

IMT-2000 (International Mobile Telecommunication 2000) 規格に準拠した通信システム

W-CDMA (Wideband CDMA)

GSM(2G規格)、GPRS(2.5G規格)の拡張


・W−CDMAのネットワーク要素としては、 回線交換機能パケット交換機能があり個々に定義されている
ただし、これらは論理的な機能単位を表しており、インプリメント上の物理的な装置・ノードとの対応は任意とされている


・コアネットワークの実現方法として、たとえば、回線交換機能を実装するMSC/GMSCとパケット交換機能を実装するPDSN/PDGNを単一ノードで実現することによって、音声トラヒックから大容量データトラヒックまで様々なメディアを統合的に交換、伝送するシステムを構築


・物理チャネル上に複数のトランスポートチャネル を多重化して伝送することにより、ユーザデータと制御情報の多重化や、音声通信とパケット通信を同時に行うマルチコールに伴う複数のユーザーデータの多重伝送を可能にしている


・一つのトランスポートチャネルに、複数の論理チャネルを対応付けることにより、効率の高い伝送を行うことができる


CDMA方式特有の遠近問題を解決するため、適応送信電力制御を信号電力対干渉電力比すなわちSIR測定値をベースにしている

W-CDMA方式では、適応送信電力制御を信号電力対干渉電力比すなわちSIR測定値をベースにしています。基地局で逆拡散した信号をRAKE合成したうえでSIRを測定し、測定値が目標値より大きい場合は移動機に送信電力を下げるコマンドを送信します。逆のケースでは、送信電力を上げるコマンドを送信します。これを受信した移動機は、コマンドにしたがって送信電力を制御することになります。この動作を0.625msに1回という高速で実現することで、フェージングにより発生する受信レベルの変動を送信側の電力制御によりなくすことができ、送信電力も最小にすることが可能になります。

引用:
6.SIRベースの適応送信電力制御 | 企業情報 | NTTドコモ


CDMA2000

Wideband cdmaOneとも呼ばれるFDD-CDMA技術を応用

基地局→端末方向(下り)と逆方向(上り)の伝送路の分離を周波数分割多重(FDD:Frequency Division Multiplexing)により、一つの周波数帯における複数端末の通信の分離を直接拡散方式(DSSS:Direct Sequence Spread Spectrum)による符号分割多元接続(CDMA:Code Division Multiple Access)によって行う。

引用:
CDMA2000(MC-CDMA)とは - IT用語辞典 e-Words

第3.5世代

・1x EV-DO (Evolution Data Optimized/Only)
CDMA2000から発展した規格


・HSPA (High Speed Downlink Packet Access)
W-CDMAから発展した規格

第3.9世代

LTE (Long Term Evolution)
LTEというと一般にFDD-LTEを指す
FDD: 周波数分割複信(Frequency Division Duplex)
これに関する技術は下で詳しく説明します


・TD-LTE
時分割複信(TDD: Time Division Duplex)と用いる
上りリンクと下りリンクが同じ周波数帯で済む


中国では注目を浴びています
第476回:TD-LTE とは - ケータイ Watch Watch


Wikipedia情報ですが、国土が広い場合にはTD-LTEの方が向いているそうです

中国の中国移動通信が早くから次世代規格として詳細検討・開発を行った。(中略)しかし、中国移動通信はリモートラジオヘッドの性能向上やセルの小型化などの工夫で通信速度の低下を大幅に解消し、上海万博でもTD-LTEのデモを行い、100Mbpsを超えるスループットを実現した。さらに、地域ごとに異なる周波数を設定せざるをえないような国土の広い国で必要とされる周波数境界上の制御には、TD-LTEのほうがFDD方式のLTEよりも適していることをフィールドテストなどで実証している。

引用:
Long Term Evolution - Wikipedia


・モバイルWiMAX (IEEE 802.16e-2005)
複信方式: TDD
変調方式: OFDM、OFDMA、SOFDMA

第4世代

LTE-Advanced (LTE-A)
LTEから発展した規格


・WiMAX2 (IEEE 802.16m)
WiMAX 2.0にTD-LTEの互換性を持たせたものがWiMAX 2.1
WiMAX2+はWiMAX 2.1 Additional Elementsを利用したサービスのブランド名


W-CDMA

第3世代携帯電話(3G)の一つ(他にはWiMAXなど)


W-CDMA基地局(NodeB)がRNC(Radio Network Controller)と呼ばれる上位局の制御によって動作する

LTE

第3.9世代移動通信システムの一つ(他にはモバイルWiMAXなど)

LTEにおける無線アクセスでは、MIMO、送信ダイバーシチ、ビームフォーミングなどのマルチアンテナ技術が利用されている

MIMO (Multiple Input Multiple Output)

垂直偏波MIMOにおいて、伝搬途中でパスが一つに絞り込まれるような環境では、キーホール効果が生まれ、マルチストリーム伝送ができない


・MIMOは、マルチパスリッチな環境で高い効果が得られ、到来波が一定方向から集中する環境ではあまり効果は得られない


・レイヤ:MIMOにおいて同時に送信するストリームの数


・シングルユーザMIMO:同一時間周波数において、単一ユーザに対してMIMO伝送を行う技術


・マルチユーザMIMO:同一時間周波数において、複数ユーザに対してMIMO伝送を行う技術


・ピーク周波数利用効率:仕様上実現することのできる最大の周波数利用効率。最大レートの効率


・MIMOにおけるマルチストリーム伝送の場合、一般に、空間フィルタリングは MLD(Maximum Likelihood Detection)と比較して、ストリーム検出に必要となる処理量は小さい


・各アンテナから送信される信号はストリームといわれ、送信ストリームが一つの場合と二つ以上の場合で効果や用いる技術が異なる
送信ストリームが一つの場合、MIMOの効果は受信時のS/Nが改善することである。 MIMOチャネル情報の一部あるいは全てを必要とする送信方式として、アンテナ選択送信ダイバーシティ、最大比合成送信ダイバーシティがある


・また、送信側でMIMOチャネル情報を必要としない方式としては、時空間符号がある。時空間符号では、送信側の構成は非常に簡単となるが、各送信アンテナから等しい電力で信号を送信するため、送信電力の損失が生ずる


・送信ストリームが二つ以上の場合、空間多重といわれ、MIMOの効果は、 伝送レートが向上することである

4×4MIMO

基地局側と端末側それぞれに4つのアンテナを利用し、同じ周波数の電波で複数のデータを同時に送受信するシステム


基地局と端末のアンテナが4つになることで、電波をさまざまな角度から反射させて通信することができるため、建物が多い都市部でも快適に利用できる


・電波を送信する基地局の4つのアンテナそれぞれから端末に電波が送られるため端末側には高度な演算性能が求められる


無線アクセス方式

RB(Resource Block) (参考)

15kHz間隔で並ぶ12個のサブキャリアを基本単位とし、12サブキャリア(180kHz)と1スロット(0.5ms, 7シンボル)で囲まれた部分を1つのRB(Resource Block)と呼ぶ
ユーザへの割当は時間的に連続する2RB単位で行われる
(→12サブキャリア✕1.0msということ)


各チャネル帯域幅のときの、使用するRBの数は以下のようになっています

チャネル帯域幅[MHz] 1.4 3 5 10 15 20
伝送帯域幅[MHz] 1.08 2.7 4.5 9 13.5 18
使用するRB 6 15 25 50 75 100

引用: http://literature.cdn.keysight.com/litweb/pdf/5989-8139JAJP.pdf

下り(ダウンリンク)

OFDMA (Orthogonal Frequency Division Multiple Access, 直交周波数分割多重接続)
複数ユーザーのトラフィックを効率的に処理し、周波数帯域を有効に利用できる
基地局の電力増幅器の効率の要求が端末ほど厳しくない
端末側の受信機の処理が簡易である


〜補足〜
・PDCCH (Physical Downlink Control Channel)
周波数軸50RB✕時間軸1~3シンボルを用いて、スケジューリング情報を全端末に送信


・PDSCH (Physical Downlink Shared Channel)
PDCCHで知った自分宛てのスケジューリング情報を元に、自分宛てのデータをPDSCHから取り出す
PDCCHで使用されている以外のリソースを使用する


上り(アップリンク

SC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access, シングルキャリアFDMA)
要求される電力増幅器の効率が、端末コスト、電力消費及び上りリンクのカバレッジに対して厳しい
一つのキャリアのみ使うので省電力
周波数領域の等化の処理が若干複雑になるものの、基地局受信機の信号処理は端末ほど厳しくない


〜補足〜
・PUCCH (Physical Uplink Control Channel)
ランダムアクセス方式で端末間コネクションの解決後、基地局は端末毎に周波数軸1RB✕14シンボルを割り当てる
端末はPUCCHでスケジューリングリクエストを送信する


・PUSCH (Physical Uplink Shared Channel)
PUSCHを使ってデータを送信
PUCCHで使用されている以外のリソースを使用する


接続端末数が増えるほどPUCCHが増え、PUSCHが減る


※参考
総務省の参考資料が非常に分かりやすいです
http://www.soumu.go.jp/main_content/000450855.pdf
LTEを支える3つの要素技術 (1/2):次世代の無線技術、LTEの仕組みが分かる(4) - @IT
PDCCH, PUSCHなどの説明: https://www.fine.cs.kobe-u.ac.jp/members/yumi/2012-05-MoMuC-Takaki-update.pdf


・LTEでOFDMベースのアクセス方式が用いられているのは、OFDMがサイクリックプレフィックスを付加することによって無線チャネルのマルチパスに対する耐性があり、ブロードバンド通信で良好な特性を得ることができるためである
しかし、OFDMには、ピーク電力対平均電力比が大きく、電力増幅器が非効率になることや、周波数誤差の影響を受けやすいといった弱点がある
なお、シングルキャリア方式のマルチパスに対する耐性は、OFDMと比較して信号処理が若干複雑になるが、サイクリックプレフィックスを付加し、周波数領域の等化を行うことにより十分な性能が得られることが判明している


eNodeB

携帯電話事業者などが設置している、LTE方式の無線通信に対応した無線基地局のこと


LTEW-CDMA方式の発展形であり、W-CDMA基地局が「NodeB」であるためこのような名称となった


W-CDMA基地局(NodeB)がRNC(Radio Network Controller)と呼ばれる上位局の制御によって動作していたのに対し、LTEではRNCの機能を基地局(eNodeB)とコアネットワークに分散し、独立したeNodeBが直にネットワークに接続されるというシンプルな構成に変更されている


LTEの各eNodeBはEPC (Evolved Packet Core)といわれるコアネットワークと接続されており、 制御系はEPCのMME(Mobility Management Entity)に、ユーザデータ伝送系はEPCのS-GW (Serving Gateway)にそれぞれ接続される


・コアネットワークの構成要素であるホームサブスクライバサーバ(HSS)には、 移動端末の加入者情報、認証情報、位置情報などが蓄積されている。

ビームフォーミング

・ビーム形成のための重みのかけ方には、コードブックに基づく方法と、コードブックに基 づかない方法がある。 コードブックに基づかない方法は、一般に、主にLTEのTDDで使 用される。


・ビーム形成のための重みのかけ方のうち、コードブックに基づく方法の場合は、基地局は、 端末に対しどのコードブックの組合せを用いているかを端末に通知する。 端末は、セル固有 のリファレンス信号とコードブックを組み合わせることにより、ビーム形成された受信信号 の同期検波が可能となる。


・アンテナ放射パターンを作るアレイウェイトの決定手法には、サブストリーム干渉を完全に除去するZF(Zero-Forcing)アルゴリズムと、干渉と雑音電力を最小とするMMSE(Minimum Mean Square Error)アルゴリズムがある
MMSEアルゴリズムは、雑音も考慮してウェイトを決定しているため、低S/N の領域では、ZFアルゴリズムと比較して大きいチャネル容量を確保できる


・空間フィルタリングにおいては、希望信号にアンテナ放射パターンのメインビーム を向け、不要な信号にはアンテナ放射パターンの利得の落ち込み点(ヌル)を向ける ことにより、空間的な選別を行う


・アンテナ構成が2×2(基地局2送信、端末2受信)の場合には、基地局近傍のユーザに対してはマルチレイヤ伝送を用い、遠方のユーザに対してはビームフォーミングを用いると、セルの全領域にわたり高いスループットの確保が可能となる

送信ダイバーシティ

・送信ダイバーシチの制御の形態として、オープンループ型のものとクローズドループ型の ものがある
オープンループ型の送信ダイバーシチは、制御チャネルや高速移動環境下での クローズドループ制御が追従しない場合に用いられる


・LTE下りリンクの送信ダイバーシチでは、2送信アンテナの場合に、空間周波数ブロッ クコーディング(SFBC:Space Frequency Block Coding)が用いられる。 SFBCは、端 末からのフィードバックを必要としないため、オープンループ型の送信ダイバーシチである
 

・SFBCは、アンテナ対とサブキャリア対でアラモウチ(Alamouti)の符号化を行うことに よって、空間周波数符号化が実現され、フェージングの影響を大幅に軽減できる

CA(キャリアアグリゲーション)

異なる2つの周波数の電波を束ねて速度を倍にするシステム
仕組みが単純であるため、対応エリア内であれば通信場所の影響を受けにくく、安定した高速化を期待できる
利用には基地局側の対応が必要となるため、前もって使用エリアの対応状況を確認する必要がある



LTE-Advaced

第4世代移動通信システムの一つ(他にはWiMAX2など)


・キャリアアグリゲーション(CA)といわれる技術により、周波数的に不連続な周波数ブロック、異なる周波数帯に存在する周波数ブロックなどを複数組み合わせて帯域幅を拡張し、並列に送受信することが可能


・MIMO技術が拡張され、上りリンクと下りリンクの両方で利用することができる


他にも、ヘテロジニアスネットワーク(HetNet)、セル間協調送受信(CoMP)、リレー伝送などもある


今や第5世代移動通信システムが盛り上がってるので、こちらのpdfファイルを読んでおくことをおすすめします
http://www.a2a.jp/resources/5G_System.pdf








無線伝送の基本はこちら
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