カスコード回路の基本

ブログに書くのが一番頭に入ってくるので、中間試験の勉強を兼ねてここにまとめました

カスコード回路とは

ソース接地回路の出力にゲート接地回路を接続したもの


一般的な回路と、その小信号等価回路は次のようになる
f:id:monhime:20190612162059p:plain

Vx, Voutのとる範囲

ここで、$ V_X $のとる範囲は


\begin{aligned}
V_{GS2} = V_b - V _X \geq V_{TH2}
\end{aligned}

よって、


\begin{aligned}
V_X \leq V_b - V_{TH2}
\end{aligned}

グラフで表すと下のようになる

入力側のトランジスタの$ V_X $の変化は出力側の$ V_{OUT} $より小さくなっている

f:id:monhime:20190612152925p:plain:w500

電圧増幅率

カスコード回路の電圧増幅率を計算する前に、入力側のトランジスタのソース接地回路をテブナン等価電圧源に変換する
f:id:monhime:20190612162303p:plain:w500


これはゲート接地回路の小信号等価回路と配置が同じになっている

よって、ゲート接地回路の式を,$ R_S\rightarrow r_0,\, v_{in}\rightarrow -g_mr_0v_{in} $と置き換えれば良い


ここで、ゲート接地回路の電圧増幅率$ A_v $は次のように表される

(導出は余裕があったら他の記事で書きます)


\begin{aligned}
A_v = \frac{1+r_0(g_m+g_{mb})}{R_D+R_S+r_0+R_sr_0(g_m+g_mb)}R_D
\end{aligned}


上の置き換えにより、カスコード回路の電圧増幅率は


\begin{aligned}
A_v = -g_mr_0\frac{1+r_0(g_m+g_{mb})}{R_D+2r_0+r_0^2(g_m+g_mb)}R_D
\end{aligned}


$ 1,\,2 \ll r_0(g_m+g_{mb}),\, R_D \ll r_0(g_m+g_{mb}),\,R_D \ll r_0 $とすると,次の近似式が得られる


\begin{aligned}
A_v \approx -g_mR_D
\end{aligned}

これはソース接地回路の電圧増幅率の近似式と同じ
(導出は余裕があったら他の記事で書きます)

出力抵抗

出力抵抗$ R_{OUT} $を計算するときは、入力をなくし(電圧源は短絡、電流源は切断)、出力に電圧$ v_x $をかけた時の$ i_x $を計算し、$ R_{OUT} = \frac{v_x}{i_x} $で求める


このときの小信号等価回路は下のようになる
f:id:monhime:20190612162921p:plain:w500


$ -v_{gs2} = -v_{bs2} = r_{01}i_d $を用いて


\begin{aligned}
v_x &= r_{01}i_d + r_{02}(i_d-g_mv_{gs2}-g_{mb}v_{bs2}\\
&= \{ r_{01} + r_{02}+(g_m+g_{mb})r_{01}r_{02} \}i_d\\
\therefore i_d &= \frac{1}{ r_{01} + r_{02}+(g_m+g_{mb})r_{01}r_{02}}
\end{aligned}

最後に、$ i_x = i_d + \frac{v_x}{R_D}$であるから


\begin{aligned}
R_{OUT} &= \frac{v_x}{\frac{v_x}{r_{01} + r_{02}+(g_m+g_{mb})r_{01}r_{02}}+\frac{v_x}{R_D}}\\
&= R_D // \{r_{01} + r_{02}+(g_m+g_{mb})r_{01}r_{02}\}
\end{aligned}

$ R_D \ll g_mr_0^2 $であるとき、$ R_{OUT} \approx R_D $と近似できる


一方で、$ R_D \gg g_mr_0^2 $であるとき、$ (g_m+g_{mb})r_{01}r_{02} $と近似できる
ソース接地回路(ソース抵抗なし)の出力抵抗は、$ R_D $が十分大きいとき、$ r_0 $と近似でき、上の式と比べて$ (g_m+g_{mb})r_{02} $倍されている


この、出力抵抗が高抵抗化されていることがカスコード回路の強みである


電圧動作範囲

入力側のトランジスタをM1、出力側のトランジスタをM2として、それぞれが飽和する時の条件を考える

M1が飽和する時


\begin{aligned}
V_{DS1} \geq V_{GS1} - V_{TH1}
\end{aligned}

$ V_{DS1} = V_X,\,V_{GS1} = V_{IN} $ より


\begin{aligned}
V_{X} \geq V_{IN} - V_{TH1}
\end{aligned}

$ V_{X} = V_{b} - V_{GS2} $より


\begin{aligned}
V_{b} \geq V_{IN} - V_{TH1} + V_{GS2} \tag{1}
\end{aligned}

M2が飽和する時


\begin{aligned}
V_{DS2} \geq V_{GS2} - V_{TH2}
\end{aligned}

$ V_{DS2} = V_{OUT} - V_X,\,V_{GS2} = V_{b} - V_X $より


\begin{aligned}
V_{OUT} - V_X &> V_{b} - V_X - V_{TH2} \\
V_{OUT} &\geq V_{b} - V_{TH2}\tag{2}
\end{aligned}

上の(1)、(2)より、


\begin{aligned}
V_{OUT} \geq (V_{GS1} - V_{TH1}) + (V_{GS2} - V_{TH2})
\end{aligned}


$ V_{GS1} - V_{TH1} $はM1の、$ V_{GS2} - V_{TH2} $はM2のオーバドライブ電圧であり、$ V_{OUT} $の下限はオーバドライブ電圧の2段分になる

参考書

参考書: 『MOSによる電子回路基礎』(数理工学社)

MOSによる電子回路基礎 (新・電子システム工学)

MOSによる電子回路基礎 (新・電子システム工学)

  • 作者:池田 誠
  • 出版社/メーカー: 数理工学社
  • 発売日: 2011/05/01
  • メディア: 単行本